大山

大山、おおやまではなくだいせんの方。伯耆大山。
今年は冬の大山に行きたいなあと思いつつ天気図を眺めていても、西日本が高気圧に覆われるタイミングと週末が全然重ならない。今年に関していえば西日本だけではなく中部や東北も週末は悪天続きだったわけですが。

バレンタインデーの週末は久しぶりに天気が良さそうなことになり、おそらくアルプスとか八ヶ岳とかの方が晴れの確度が高いんだろうなぁと感じつつも、大山に行くにはココしかないと思いきって、旅程を手配。日曜の天気も悪くはなさそうな気配があったので、乗りたかった若桜鉄道を絡めて氷ノ山にも行っちゃおう、というプランニングにした。(土曜だけ晴れなら帰路はサンライズ、逆に日曜だけ晴れなら往路をサンライズ、みたいな替え玉案も色々用意していた)

大山も氷ノ山もすでに一度登っている。それがなんともう8年前とは。

金曜夜に羽田空港へ。空路は久しぶり。5月に大分に飛んだとき以来。ここ数年、冬はバタバタ慌ただしく北海道に飛んでいるのが常なのに、今年はまだそれをしていない。風不死岳とか恵庭岳とか支笏湖周辺に行ったみたいんですがねぇ。

米子空港には定刻に到着。最近SNSその他の観測範囲で遅延とかファイナルコールとか話題ですが、そんななか1分の遅延もないのはありがたい。特にここは21:20の到着の後に来る境線が21:44発で割とタイトなので。受託手荷物を待っても尚5分くらいの余裕はあった。


翌朝、列車で大山口まで行き、そこからバスで大山寺へ、と思ったものの車両トラブルで列車が運休に。米子駅から出る直行バスが別にあるのでそちらに切り替える。運休を知らずホームに降りてきてしまったので、コナン車両の記念撮影だけ。直行バスが2番案だったのは、大山口からのバスのほうが大山寺に7分早く着くダイヤだったから。

米子駅発のバスはちょうど座席が埋まるくらいの入りで、客はみな登山の装い。バス停手前で少し渋滞していたようだったけど、8時半頃には歩き出せた。大山寺橋から真っ白の大山が見えて高まる。夏道登山道から無心で歩いていく。しっかりした雪山は数週間ぶりでも全く問題なし、抜きまくっていく。

のはずが、森林限界を超えた先、なんか上はガスっぽい? 風も凄く強いし。どうしてこうなった? 日曜はまだしも土曜はかなり確実に晴れだと思っていたんだけどなー、これじゃあ剣ヶ峰は難しそうか? それはつまんないなー。と少しダウナーになりつつ6合目でアイゼンを付ける。

ひときわ強い風が吹いたかと思うと、あれ、晴れそう。

晴れた。頂上の数百メートル手前、なんというタイミング。

一過性の晴れではないことを確かめたくて下の方を見ると、ひとまずすぐに上がってきそうなガスの気配はなし。風も急に和らいだような気がする。ギリギリの良いタイミングで上がってこれた、もし数十分早く頂上一帯に来ていたら、もう剣ヶ峰は行かずに帰っちゃおうとなっていただろうし。

まずは弥山。夏山登山道を使えば安全に登ってこられるとあってなかなかの人出だった。

剣ヶ峰へと続いていく綺麗な稜線。去っていったガスが雲海のように少し残っているのもまた良いアクセント。快晴というほどに青空ではないのだけがマイナスポイントか。真っ青な空の下ならもっとこの稜線は本領を発揮できただろうに。

ということで剣ヶ峰へ。無雪期には崩落のため立入危険という看板があるのだが今はおそらく雪の中……風も収まってきたし、トレースもかなり明瞭にあったので、行ってしまえると判断。

こんな感じの雪稜を十数分。左右がスッパリ切れ落ちているので、写真ではかなりハイリスクに見えるものの、現場はトレースが安定していることもあってそれほど恐怖心を覚えない。それでも魚眼レンズとかで撮ったらなかなか凄いことになりそうだなぁと思ったり。

うわ、ここは危ないな、という緊張感が高まる箇所は一箇所だけあった。ほとんど足場のみになっていて、ピッケルを刺して体を安定して支えることの難しい数メートル。(ピッケルを刺せそうな側部の雪がないことはないが頼りない感じなので、下手に触って崩したらヤバい、という感覚になる)

そんなこんなで剣ヶ峰に到着。ランドマークらしきものがあるはずなのだがおそらく雪の中に埋もれていた。地図を見たりこの先にここより高い場所はなさそうだよなと見回したりして、剣ヶ峰であることを確認する。

この先にも少ないながらトレースが延びていた。天狗ヶ峰とかに繋がっているんですかね? 流石にここから先はいいかなぁと思い、剣ヶ峰で引き返し。

稜線、復路編。剣ヶ峰は一応扱い的には黒寄りのグレー(積雪期だからグレー)、という風に自分のなかで整理していますが、やっぱりトレースがあることでハードルが下がるのだろうなと推測されて、想像以上にたくさんの人々が剣ヶ峰に進んでくる、そうなると稜線上でのすれ違いが結構怖い。

まあそれでも場所を選びつつ歩けば特に心配はない。

弥山が近づいてきた。この大展望の稜線ももうすぐで終わり、と考えると寂しい。リスクも同じくらいで構わないから、ここと同じくらいの展望を、もう少し長い間楽しめるスケールの稜線があって、それでいてできればここと同じくらいにカジュアルに手軽に登れる山。ないかなぁ。

弥山に立ち戻って、往復してきた稜線を振り返る。白銀の山体にどうしても登山者が目立ってしまって、自分もそこに居た癖にAIに画像編集をさせて人の姿を消させてしまいたくなる。

剣ヶ峰までは行かなくても、弥山の少し先にある小高い地点までは記念に歩いている人が多そう。

弓ヶ浜、美保方面の景色も、登りのときは少しガス気味、靄り気味だったのが、帰る頃には幾分か空気が澄んで、下界を見渡せるようになっていた。

ガシガシと下っていけるので雪山の復路は早い。北壁の荘厳な雪化粧を見つつ、帰りも夏道登山道を進んでいく。夏道なんて名前になっていますが普通にみんなオールシーズンここを歩いています。

下界がどんどん近づいていく。昼前という頃合いだったが、まだこれから頂上を目指す人も多い。

樹林帯はあまり面白みがない。入山者が多いことでしっかり踏み固められて、踏み抜くようなところがほとんどないのはありがたい。
大山寺からの帰りは、バスで米子駅に行くとなると3時間近く待つことになってしまうので、流石にそれは厳しい。したがって大山口駅まで歩くことにした。追加13キロの歩行。

そして13キロくらいヨユーヨユー、2時間ちょいだし。と思っていたがこれが甘かった。冬靴(スカルパのモンブラン)で舗装路をそんなに歩くものではない。終盤は足先がかなり痛んで、タクシーを呼びたくなる衝動を抑えるのに必死だった。海に近づくにつれて遠ざかっていく背後の大山。午後になるほど青空が増したようで、いま頂上にワープできたらいいのにと思う。

大山口から米子駅に舞い戻って、また米子から鳥取方面へ特急列車で折り返す。(大山口で普通列車を待つより1時間くらい早くなる)
米子の駅施設に入っていたパン屋で買った米子あんぱんを口にしつつ、車窓の大山をまた眺める。この日は鳥取のサウナ付きビジネスホテルに泊。

日曜日。鳥取から郡家(こおげと読む)、郡家から若桜とローカル線を乗り継いで行く。郡家からの若桜鉄道はスキー場を目指す大学生?高校生?で盛況。1両のかわいらしい車内は見た目のちんまり具合と裏腹にだいぶ騒々しい車内だった。

わかさ氷ノ山スキー場から氷ノ山へ。上部はガスガスで、これは大山のそれとは異なり取れる見込みも薄そうだったので、ほとんど修行というようなピークハントになった。カメラはほとんど使用せず。西日本では人気の冬山とあり、この天気でも人出はそこそこ。主として前日に付けられたのであろうトレースがしっかり残っていた。

鳥取側から登り、下りは兵庫側へ。ヤマレコやヤマップでは鳥取側からのコースログを多数見るのでこっちから登る方が冬は主流なのかなと思いつつも、兵庫側に至る東尾根コースにもぼちぼちトレースは残っていて、ありがたくそれをなぞりながら帰った。氷ノ山国際スキー場のゲレンデに着いてからは、コース端をとぼとぼ歩く。毎冬このスキー場を(ビュンビュン滑降していく人々の横で)ひっそり歩くイベントが一度はあり、妙に気まずい。

そのまま駐車場まで歩ききりたかったものの、下りるコースを間違えてしまったようで、正しいコースに戻るにはゲレンデを登り返す必要があることが発覚。いやゲレンデを登り返すって、おいおい、と思いもうリフトでいいやー、と1回券を買ってリフトに乗車。(ただ実はその1回券も不要?で、下りなら無料で乗れたらしい) 下りのリフトもまたなんか名状しがたい気まずさ?恥ずかしさ?があるよなぁと思いつつ、8年前にバイクで訪れた駐車場にようやく到達した。

氷ノ山国際スキー場(鉢伏エリア)からは山陰線の八鹿駅までのバス路線があり、バス(途中に道の駅近くの温泉を挟み)と特急きのさきを乗り継いで京都へ、そして京都からは東海道新幹線。快晴の週末を100%味わい尽くしたとは言い難いけど、少なくとも行きたかった大山は悪い天気ではなかったし、剣ヶ峰も踏めたので及第点でしょう。
しばらく西の方はいいので、次は北方面に行ければいいけども、それこそ北海道とか。でも連休は混みそうなので、それがまたネック。

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