24-25シーズンの雪山初め。いきなり北海道、大雪山である。とはいえ1月の大雪山は昨年も来ているし、天候も良好そうで不安は小さかった。気圧配置図を見ていて意外と盲点になりがちな北日本エリア。中部山岳方面が読みにくいのに対し、日曜の北海道の晴天は信頼できそうで、連休を使って慌ただしく渡道してきた。
土曜に成田から旭川へひとっ飛び。初めてジェットスターの便を使った。成田まで出ないといけないのは面倒だが、エアドゥより少しだけ安く済んだ。前泊は毎年ながらベアモンテ。相変わらず外国人が多い。チェックアウトで前の外国人が手間取り、始発のロープウェイを逃してしまった。なんとか2本目には乗れて、白銀と青の別天地へ運ばれていく。
朝の姿見はマイナス14.5度。今日は風も弱いから、去年と比べればかなりマイルドな環境に感じる。すでに先行者が進んでいるのがちらほら見えており、スノーシューを着けて急いで歩き始めた。
いくら予報通り、読み通りとは言っても、さすがに言葉に詰まってしまうこの大快晴。夏の朝でもこれほど思うがままに大雪山系の連嶺を見渡すことはできないだろう。トムラウシ、オプタテシケのピークが目立って、その先の十勝岳連峰までくっきりと見える。晩夏の心残りのあるオプタテシケ山は、3~4月頃の晴天を掴まえて、白金温泉からの往復で来年あたりにリベンジできないだろうか。
歩きながらも常にシャッターチャンスを探している。夏道の遥か下の斜面を進むBCスキーヤー(おそらく外国人)と合わせて。
前を行くのも外国からのBCスキーヤー。ロープウェイの始発便に乗っていたと見られる面々で、ここまで先行されていたが、なんとかニセ金庫岩の手前で追い越した。
そして大雪山・旭岳の頂上に立つ。夏にここに来たときはガス、昨年は登っている最中は比較的晴れていたものの頂上からは高曇り。それが今年はどうか。北海岳のピークを初め、裏大雪方面まで真っ青な空の下にある。くっきりと見える山々の連なりは、どれもすぐそこにあるピークかのように見えて、神々の遊ぶ庭、カムイミンタラを自分も自由に駆け回れるかのように、遠近感の錯覚を起こす。
旭岳のピークの往復で終わってしまっては、昨年の焼き回しであまり面白くない。せっかくこの天気なのだからと、裏旭へと足を進めた。北海岳までは難しいとしても、間宮岳や荒井岳には行けないだろうかと目論んでいた。
天候のコンディションをよそに思いのほか足は進まず、原因はスノーシューの重さにあると考えられた。今回からスノーシューをヘリウムBC23に変えていた。これまで使っていたモンベルの物より若干軽いはずだが、アイゼンを付ける登山も今シーズンはまだしておらず、いきなりスノーシューをくっつけたものだから、足を消耗したのかもしれない。とっくにアイゼンに変えても良さそうな雪質だったが、何となく機を逸してそのまま歩き続けていた。
熊ヶ岳との分岐路まで行ったところで、残り時間を加味してUターンすることにした。いま思うと熊ヶ岳に足を延ばしても良かったかもしれないが、今回はその代わりに後旭岳に立つことにした。せめてもの+α要素、昨年との違いである。登攀力の高いヘリウムBCでもやや苦しい斜度の道を取ってしまったが、何とか歩ききった。
後旭岳から仰ぎ見る旭岳のピークには、続々と登頂を果たす人々が現れて、遠目にも混雑しているのが分かる。反面、後旭は夏道のルート外であることも手伝って人を寄せ付けない。寒風に吹かれつつ、一人の時間を味わった。
帰りは一度旭岳まで登り返して、そのまま夏道を戻っていく。午後になってもまだ青空は顕著で、外界の雲が上がってくる気配はない。無理をして(お財布的な意味で)、渡道してくる価値があるというものだ。
下りの途中頃から雲海の存在感が強まってきた。このダイナミックな景色の中を歩いているBCスキーヤーは、レンズの向け方によっては別天地をぽつねんと探索するかのように切り取れて、面白い。
午後に入っても旭岳の頂上を目指して登ってくるBCスキーヤー、登山者の数は多かった。旭岳のピークから崖尾根と呼ばれる冬ルートを取ればスライドの数は減るようで、次に来るときに今日くらいコンディションが良ければ試してみたい。
さすがにたくさんの人々が踏み歩いたことでまっさらな雪面という感じは薄れているものの、昼過ぎでもまだまだこの快晴。ロープウェイで往復するだけの観光客にとっても、充分に対価に見合う景色と言えるだろう。昨年の大雪山の記事で、年始の運試しだというようなことを書いていた。昨年は中吉程度という評価だったが、今年は大吉と言って良いだろうか。これが天井と言い切ってしまうことに抵抗を覚えつつも、実際にこれ以上の好天はそうそうないだろうという気持ちもある。
雲海のてっぺんの部分が高度を少し上げたり下げたりを繰り返し、ちょうど帰る頃に姿見の駅の付近が雲海の下に入った。それでもこの雲は斜面に沿って昇っていく類のものではないらしく、石室あたりから上は引き続きよく晴れていた。
帰りのバスに並ぶために少し早めに下界に戻り、満員のバスに揺られて旭川駅へ。そのまま特急ライラックで札幌に向かい、この日は札幌にて泊。翌、月曜日は晴れれば余市岳や風不死岳に行きたかったが、期待していた程には天候が芳しくなく、市街周辺(藻岩山、円山)を歩いて終わった。北海道の雪山は、来年か、あるいはまた春先頃に検討するだろうか。会社でもらった新日本海フェリーの株主優待券が、まだ使えないまま残っている。上手く使えば余市岳あたりは弾丸で登れるかもしれない。
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