週末は北海道の天気が安定して良さそうで、利尻か大雪山系かで迷いつつ、ChatGPTとの喧々諤々の議論の結果、土日をフルで山に使える大雪山系縦走が良かろうということに落ち着いた。
金夜に渡道し、日曜夜に帰ってくるプランを組み立てたが、色々とロジ面で苦労をする、痺れる展開が続きました。
金曜は仕事を17時で切り上げて、急いで羽田に駆け付けたものの。まさかまさかの110分遅延。何ですかこれは? 到着便の遅延という話だったのが、使用機体が使えなくなったための遅延という話に変わり、乗務員調整も伴い、どんどん後ろ倒しになっていきました。新千歳到着は22時過ぎ。その後どうやって旭川まで移動したのかは……ご想像にお任せします。ターミナルで待っている間に最前列のシートが空いていることに気が付き、しれっと移動。保安検査の後に席を変えられるとは知らなかった。
土曜朝、旭岳ロープウェイで姿見へ。なんとか第一便に滑り込んだ。旭岳の夏の姿を見るのは5年ぶり、朝の気温は僅か5度。とても涼しかった。人の数はそれなり(ロープウェイのハコがぎちぎちになるくらい)、でももう少し草紅葉が進めばもっと混むのだろう。
旭岳の向こうから太陽が昇ってくる。眩しい。
ひたすらに足を進め続け、登山者の最前列に。この辺から、なんか景色が濁っているなぁ?と思い始める。晴天のはずなのに妙に空気が霞んでいる。トムラウシもシルエットは見えるけど、薄いモヤの向こう。
旭岳ピークへ最後の登り。金庫岩周辺もすっかり冬の印象ばかりだったので、懐かしいというよりは初めて見る感じ。
旭岳頂上に到着。姿見の出発からちょうど1時間でした。
晴れているのはこんなに明らかなのに、ずっと妙に空気が霞んでいて、頭の中がハテナマークでいっぱいに。
晴れてはいるのだからまあいいか、と裏旭方面へ。夏山ではこっちに来るのは初めて。この大展望の中をほとんど独り占めで歩ける、物凄い開放感。
チングルマが至る所に。この見た目ももちろん綺麗だけど、花の時期にはまた凄い景色になるのだろう。
北海岳に向かって、歩きやすいトレイルを突き進んでいく。ほんの時折、すれ違う人も出てきた。前日はあまり天気が良くなかったはずだけど、白雲岳の小屋に泊まっていた人だろうか。さすがに黒岳ロープウェイからはまだここまで来れないはず。
御鉢平とそれを囲む、中岳や黒岳など向こうの山々。御鉢のなかは荒廃した雰囲気で、有毒温泉という名前に相応しい見た目をしていた。
北海岳で、黒岳側からのルートと接続。ここから南方向に進路を取っていきます。
前方に白雲岳が見えている。近いところは視界良好なのに少し離れるとやっぱり濁っている。半透明のビニール袋を被っているよう。
白雲岳への分岐点。逆に向かえば小泉岳、赤岳にも行ける、ジャンクションのような場所。いかにもザックをデポしていきたくなる場所だけど、先に牽制されていた。クマがいるのでやめましょう、という注意書き。
まずは白雲岳へ。足元が草紅葉している雰囲気で、もう秋の山と言って差し支えないでしょう。
白雲岳頂上から、旭岳方面を望む。まだまだ雪渓も普通に残っていて凄い。9月なんて一年で一番雪のない時期のはずなのに。そのうちまた今年の降雪が始まって、万年雪みたいになる場所もあるのだろう。
頂上標。白雲岳は北海道百名山の一つ。大雪山系、旭岳の周辺で旭岳以外の著名なピークといえば…といったときに筆頭で出てくるピークでしょう、ここ以外にはあと北鎮岳とか。
白雲岳から戻っていく。白雲岳直下に開けた場所があり、ここがまた雄大で凄い。贅沢な空間の使い方。本州の山ではなかなかこんなにだだっ広い謎の平原は見当たらない。
ジャンクション地点から今度は反対方向へ。北海道百名山をたくさん踏んでおきたかったので、キリ良く赤岳まで向かいました。
赤岳。地味なピークだと思っていたらそこそこの登山者がここで休憩していて驚いた。
赤岳から小泉岳に戻っていく最中。ちょこまかと動く影が視界に入り、なにかと思えばシマリス。近寄るとすぐ逃げてしまうので、遠目からカメラを向けるしかなかった。なんとか立ち止まってくれたタイミングでシャッターを押す。
小泉岳に到着。あんまりピークという感じがしない地点ながら、ここも北海道百名山に選ばれている。
南方向に歩いて、今度は緑岳に。ここからさらに南に歩くと、大雪高原温泉に着くことができる。高原温泉は今年は休業中。2年前にバイクで林道をガタガタ走りながら訪れたのが懐かしい。
ここから歩いていく南部、トムラウシに続いていく縦走路。雪渓もオマケ程度に残っているなんてレベルではなく、割とガッツリ白色の面積がある。
雪渓を渡って、白雲岳避難小屋へ。9月にこんなに普通に雪の上を歩くことになるなんて思っていなかった。
白雲岳避難小屋。中には入らなかったけれど、賑やかな声が外に漏れ聞こえていた。大雪山系の縦走では、まずここに泊まり、2日目にヒサゴ沼に泊まるというスケジュールが標準的なものとなる。
まだまだ時間はあるので、私は歩き続けていく。トリカブトに注目。花はトリカブトやリンドウなど青色系統の花が目立っていた。
高根ヶ原周辺はヒグマの出没地域。高原温泉に下りていく三笠新道ルートはほとんど年がら年中、閉鎖されている。一週前の土日ではこのルート上でヒグマが目撃されていたようで、やや緊張感があった。幸いにも、糞がところどころに散らばっているのみで、ヒグマそれ自体の気配はなかった。
静かに水を湛える忠別沼。
軽い登り返しを経て、忠別岳に到着。初日の最後のピークで、ここも北海道百名山。白雲岳から先、一つ一つのアップダウンは全然大したことがないものの、水平方向に歩く距離は長く、また前日夜の睡眠時間があまり長くなかったことも効いて、そこそこ疲労度合いは高まっていた。
最後まで霞みきっている景色の向こう、うっすらと見える旭岳に別れを告げて、避難小屋方面へ。
忠別岳のピーク部は南側から見上げると隠岐の摩天崖みたい。どっしりとした存在感がある。
ようやく見えてきた忠別岳避難小屋。初日はここに泊まる。見るとテント場が大賑わいで、まさか小屋も混んでいたりしないよな?と怖くなる。ここの避難小屋は不人気で、基本的にはガラガラだと聞いていたから、さすがにノーマークだった。
心配は杞憂に終わり、到着時は先客1人がいるのみでした。良かった良かった。最終的には追加で4名が到着し、計6名が利用した夜でした。これはこの小屋にしてはなかなか多かったのでは。テント場の賑わいは学生の登山パーティだった模様。
疲れ、睡眠不足もあり、夜はそれなりに気持ちよく眠れた。想像以上に寒くて、念のために持っていくかと出かけに突っ込んできたダウンジャケットが大活躍でした。
翌朝、3時に起床して、レーズンシュガーパンを腹に詰め込む。いそいそと支度をして3時半過ぎには小屋を発った。いくら朝の早い北海道といえど、9月の朝3時半はまだ真っ暗だった。
2日目の最初のピーク、五色岳。ここから沼ノ原、クチャンベツ方面に下りていくルートに入ることができる。
少しずつ空が白んでくる。果てしない開放感で、ここはもっと明るい時間帯に歩いたら楽しかったかもしれない。トムラウシの山体もしっかりはっきりと捉えた。
木道がところどころに登場するも、結構朽ちてボロボロになっていたりして、意外と足元に気を遣う。
ヒサゴ沼への寄り道は帰りに行うこととし、まずはトムラウシ頂上を真っ直ぐ目指していく。個別の名前がわからないような池塘も無数に現れて、その一つ一つが静謐で美しい。
またもチングルマの大群生。6月頃の晴天下にここを歩いたらどんなことになってしまうのでしょう。まだその頃は雪渓の下だったりするのだろうか。
化雲岳、天人峡方面との分岐。帰りはここから天人峡に向かっていくことになるが、まずはトムラウシを踏んでから。この近くの看板で、トムラウシまで4.7kmとも出てきて、往復したらほとんど10kmか、と思ったより長く感じる。
木道区間は癒し。ところで今日も霞んでませんか? 高曇りとも少し違う、この妙に濁った空気はなんなのでしょう。
トムラウシ頂上まで、遠くから見ていると割とあっさり付けそうな気がするのに、意外とアップダウンがある、それに大きめの岩がゴロゴロと転がっている区間も多く、想像以上に時間を取られた。
一際周囲が明るくなった気がして、東を見ると太陽がぼんやり浮かんでいた。空気がぼやけているからこそ太陽の輪郭もこんなに分かりやすい。眩しくて暑いのは嫌だけど、微妙な晴天というのも扱いにくい。
またも癒しの木道区間。
稜線からヒサゴ沼を見下ろす。もはや夕方みたいな色合い。
天沼周辺は池塘がたくさん、どれが天沼なのかはよく分からない。この辺からはちらほらとすれ違いも発生して、おそらくはヒサゴ沼で夜を明かした人々か、トムラウシの向こう側でテン泊をされていたかなと当たりをつける。
なかなかトムラウシには着かない。北沼の手前、滑走路のように視界の開けた区間を気持ちよく突き進んでいく。
存在感のある北沼。ここまで来ればトムラウシはもうすぐそこ。トムラウシも前回は3年前に訪れているが、周辺の景色がこんな風だったなんて知らなかった。
最後もゴーロゴロの岩石地帯を飛び飛び渡り歩いて、ようやくトムラウシ頂上に到着。岩稜の中に少しだけ飛び出たところが頂上になっていた。3年前はガスガスで視界は皆無だったので、もうほとんど初めて来たようなもの。
オプタテシケや美瑛岳、十勝岳方面の眺め。これももっと空気が澄んでいたら、なお良かったんだろうに、とこれでも十分凄いと思う気持ち反面、物足りなさも反面。オプタテシケ方面は意外と歩けそうな距離に見えるけれども、これが罠。藪が顕著ということで、ここを望岳台方面まで突破するのは難儀とのこと。今日中に東京に戻ることを考えると、これはなかなか挑戦できない。
南沼のキャンプ指定地。7時過ぎという時間帯は、軽身で周辺を巡った人々がテン場にちょうど戻ってくるタイミングなのか、そこそこ人の数も多かった。
またもチングルマ群生。向こうの山肌に転がる岩の雰囲気が、手前のチングルマの綿毛の色合いと連続していて、向こうまでずっとチングルマ地帯が続いているようにも見える。
北沼に復帰。南沼からの帰路はトムラウシのピークを巻いていくルートを取った。この周辺はナキウサギの気配が大量で、あちらこちらで鳴き声が聴こえ続けていた。北沼の湖畔で軽い休憩。おにぎりをお腹に入れた。熊鈴を鳴らさずに立ち止まっていると、ナキウサギたちの声がまた至る所から聞こえて、広角レンズみたいに視界を広く景色を見ていると、ようやくウサギの姿を見つけた。ちょこまかと素早く、写真は撮れなかった。
ヒサゴ沼方面へ北上、来た道を戻っていく。すれ違いの数が多い。忠別岳の小屋では見ていない人々、しかも何だか軽装っぽい人も多く、どこ拠点で来ているのだろう? みんなヒサゴ沼から来ているのか?と気になる。
分岐で右折し、ヒサゴ沼方面へ。手前に大きい雪渓があった。沼の直前はやや下りの勾配がきつく、ここはトレランシューズだとずるずると滑って大変だった。あまり雪面を踏まないように、なるべく雪渓脇の岩を繋いで進んでいくことで乗り切った。
ヒサゴ沼に到着。水は澄んでいて冷たい。飲もうとは思わないけれど、浄水フィルターを通せば飲めなくなさそう。北沼もそうだけど、こんなに高山の風景のなかに急にバーンと水の存在が現れるとなかなか面白い。
ヒサゴ沼の避難小屋。奥はトイレ。
小屋の中をチェック。朝ももう早いという時間ではなく、誰もいなかった。一つだけ、デポされている荷物があった。忠別岳の避難小屋よりは確かに寝やすそう。収容人数も少しこちらに軍配か。
ヒサゴ沼から化雲岳は300m近い登り返し。これが今回の山旅の最後の登り区間となる。
こんなのはもう秋です。
撮る方向によっては霞を感じない写真にもなる。
ヒサゴ沼から縦走のメインルートに帰ってきて、少し北に進めばすぐに化雲岳。天人峡まで11.5kmと出ている、結構長い。
化雲岳の頂上標。この日最後のピーク。
化雲岳を去り、いざ天人峡へ。左後ろに見えているトムラウシにも別れを告げる。
化雲岳を去ってからもかなり長い間、引き続き森林限界の上を歩いていく。眺めが良くて、全然疲れや消耗を感じない。夏の本州の山なら眺めが良いのは、反面暑さによる消耗に繋がって、それはそれで苦労をするだろうに、9月の北海道ではそれが全くないのが凄い。
ポン沼に到着。ここから小化雲岳に登る踏み跡もヤマレコの地図では見られたものの、実際にどこから歩いていくのかがいまひとつ判然とせず、ピークハントはしないこととした。ポン沼の水もまた、他の池塘と同様に綺麗に見えるものの、ここの水は飲んではいけないらしい。
第二公園、第一公園といかにも歩きやすそうな響きをしている地点を越えていくが、歩きやすいのは第一公園の木道区間のみ。第二公園では前々日の雨なのか、登山道が冠水している箇所もあり、気を遣いながらの歩行となった。注意していたのに、左足を水没させてしまったのもショック。
第一公園を過ぎればもう樹林のなかの、よくある登山道。ザックの重たさを感じながら、着実に、淡々と距離を落としていく。道中、滝見台からはその名の通り羽衣の滝の姿がよく見える。
羽衣の滝から30分、ようやく天人峡に帰ってきた。写真が少ないのであっさり終わったような印象を後からでは持つが、実際には化雲岳から天人峡まではなかなか長かった。天人峡温泉では、御宿しきしま荘にて日帰り入浴。ちょうど露天も内湯も独り占めできるタイミングで良かった。サウナはないけれど贅沢は言わない。自販機がきちんとあって、湯上がりに冷たいものを飲めるのもありがたい。
天人峡からはロード区間。旭岳と旭川を結ぶ路線バス、いで湯号が泊まる原水公園まで、8.5kmの追加歩行となる。北海道らしい、真っ直ぐに続いていく道をひたすらに歩いていった。車道でも鈴を鳴らして警戒は忘れない。
忠別川を渡って、原水公園へ。最後まで安定した空だった。後になって色々調べてみると、霞の原因は黄砂ではなくロシアの山火事の影響なのではないか?とのこと。本当だろうか。だとしたらツイていないなぁ。利尻でも影響はあったかもしれない、と考えればなんとか留飲は下がる、か。
原水公園に到着。冷たい水を自由に汲んで、その場で飲むこともできる。美味しかった。水といえば、今回の山行では600mlのボトルを2本だけで、これが余ってしまう結果だった。白雲岳か流石に忠別の小屋では補給が必要になるだろうと思っていたから、意外な結果。それだけ暑くもない、どちらかといえば冬に近い気温下での山歩きだったのだと振り返る。
バスの時間まではまだ1時間弱あり、公園内の東屋のような場所で時間を潰す。
と、ここでメールを見ると、エアドゥから帰りの便の天候調査を行うとの連絡が。どうも羽田の天気が結構悪いようで、まさかまさかの帰れない可能性が出てきた。行きは110分遅延、帰りは飛ばないかもしれないだなんて、なんてこったい。
ただ祈るしかない身分なので、いで湯号がやって来たらとりあえず一路旭川空港へ。空港内のフードコートで塩バターコーンラーメンをすすりながら天候調査の結果を待つ。結果、なんとか条件付き運航で、羽田に向かってくれることになった。
条件付き運航のダイバート先が新千歳空港というのがまただいぶ痺れる展開ではあったけれど、ほとんど定刻に離陸し、
最終的にも定刻に羽田に到着した。確かに東京はザーザー降りで、実際にこの少し後の到着便では欠航になるものもあったようだから、薄氷を踏む帰路だったのだなぁと噛み締める。
最後まで飛ぶのか?飛ばないのか?を見極めようとしていたせいで、旭川でお土産を買う時間がなく、売店で慌てて買ったコーン茶だけが北海道らしいものとなってしまった。今回の道内では、セイコーマートにも寄れず。山は良かったけれど、移動だったり食事だったり(コーンラーメンは旨かったが)にはやや消化不良な点も残る週末だった。利尻が晴れてくれる週末に、今度こそは。でも、かなり(想定外に!)お金を使ってしまったので、来年かなぁ。
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