撮れ高少ないなぁ〜というのが写真フォルダを見返しながらの感想ですが、まあ一応上げておくことにしよう。冒頭の写真からして「南真砂岳・不動岳」の要素が皆無だが、今回のターゲットは南真砂岳。百高山の残り4峰の一角である。
竹村新道を歩こうというのはすんなりと決まり、あとは未歩行だった烏帽子小屋~不動岳~船窪小屋の縦走路をセットにすることにした。土曜日は烏帽子小屋と野口五郎小屋がどちらも空いていなかったので、消去法的に水晶小屋をベースにするルートを組んだが、あとで見たら烏帽子小屋は空きが出ていたようだった。
金曜夜は信濃大町で前泊。だったがこれがなかなか危なかった。Webからの予約ができておらず、あわや公園で野宿になるところだった。22時過ぎに信濃大町で行き場を失う恐怖。幸い、予約サイトを開いたら駅前のルートインにまだ空き部屋があり、滑り込んだ。
翌朝は裏銀座バスで駅から七倉までワープ。七倉に行く人は車がメインですよね〜ということでそんなに混んでおらず。
七倉から高瀬ダムまでは特定タクシーで、こちらもワープ。相乗りした方々は皆ブナ立尾根の方に去っていき、自分だけ湯俣方面に進路を取る。6時半前、もう夏の朝はすっかり進んでしまって、せかせかと足が進む。
名無避難小屋。名無という名前。
そんなに歩いた気はしないながら湯俣山荘までで10km程歩いている。湯俣山荘から晴嵐荘までの区間、高瀬川にはジップラインがかかっていて、これを使って川を渡るというのがユニーク。
遊園地のアトラクションみたいで面白かった。最初に勢いよく発車したときはなかなか驚いたものの、真ん中あたりで失速してしまい、最後はロープを手繰り寄せながら対岸にたどり着いた。要腕力。
竹村新道を快調に登っていく。午後から雷雨という予報だったのでそれも頭の片隅にあり、悪くないペースで進めた。槍ヶ岳の好展望地が多い。
そして南真砂岳に到着。これでこの山行の最大の目的は達成させられたことになるので、ここから先の十数時間は最早おまけのような位置付けに。
南真砂岳は、本当は2年前に針ノ木沢や赤牛岳を歩いた回で立ち寄っておけばよかったのだが、何となく億劫がってしまった。未踏の百高山では大沢岳や、小太郎山も似た理由で残っている。まあまた来ればいいか、という考え方で別段構わないのだが、それでも大沢岳だけは失敗だったかもしれない。(ピークハントがたいへん面倒くさい)
トリカブト確認。
森林限界を本格的に過ぎて、真砂岳と野口五郎岳。雲が存在感を強めて、裏銀座の山々にも積雲が重なるようになってきた。
真砂岳の頂上を踏み、ここから水晶小屋までラストスパート。岩を飛び飛び渡って、東沢乗越からの登り返しも気合で処理。赤牛方面に不穏な色の雲が纏わりついていた。
水晶小屋に到着。予定タイムより2時間弱も早く着いてしまった。チェックイン前にまずはジュースでカロリー補給。甘党〜。ビールに手は伸びない。
小屋にチェックインして、寝床に荷物を置き、まあ天気はまだ持つだろう…と楽観視して水晶岳ピークハントに出かけた。これが大ミス。
ゴロゴロと鳴る雷に、ライチョウさん雷が鳴ったから出てきたんですか〜(雄雌のつがいが居た)とかやっているうちに…
雨が降ってきてしまった。慌てて山頂標だけ写真に収めて、走りながら小屋へバック。荷物は全て置いてきていて、防滴仕様のカメラとスマホしか持っていなかったので、余計な水濡れは起こさなかったものの、その分身体は隠すものなく濡らされてしまった。小屋に戻ってすぐに着替えた。
初めはパラパラ程度だったが次第に雨脚は強まり、小屋に戻った直後くらいからこの世の終わりのような勢いで雨が降り始めた。前日には雹が降ったそうで、「まあいけるだろ」というちょっとした判断ミスが命取りになる夏のアルプスだなとあらためて実感。雷は幸いあまり目立たず。雷がやはり一番恐ろしい。
Kindleで本を読んだりうつらうつらしているうちにようやく雨雲は過ぎ去り、15時半頃にはまた夏らしい青空が広がっていた。
こうなるまで待ってからピークハントするべきだったよなぁと恨めしく水晶岳頂上を見遣る。先ほどまでの雨は何だったのかというようにしれっと晴れ渡って、頂上もクリアに見えている。
水晶小屋の夕食はカレー尽くし。カレー好きなので嬉しい。メインはバターチキン風だった。
翌朝は3時過ぎに起きて、鷲羽岳のピークハントへ。5年前、本格的なアルプス縦走の経験が乏しかった頃にびくびくしながら登って以来で、懐かしい。初期の頃に歩いた百名山は、結構な数をいつのまにか再訪しているが、鷲羽岳や黒部五郎岳はなかなか機会を見つけにくい。
鷲羽岳の頂上標。目を凝らしてようやく微かに判別可能。日の出まで待っても良かったが、東に分厚い雲が並んでいるので日の出時刻(4:40頃)になっても太陽は見られないだろうと判断して、この後のスケジュールを優先するために頂上を早めに去った。
読みは正しく、日の光が届いたのは5時をまわってからだった。
振り返ると、朝日を受ける鷲羽岳と槍穂の連嶺。鷲羽岳はここから見ると本当に鷲が羽ばたいているようなシルエットに見える。
多くの人が水晶岳方面に向かっていく中、ひと足早く裏銀座を戻っていく。朝は立山や後立山連峰まで視界がクリア。
真砂岳の直下から、水晶岳と赤牛岳の頂稜を眺める。2年前の夏に歩いた稜線。あれは本当に素晴らしかった。今日もこの天気なら縦走が気持ち良いだろう。
裏銀座の縦走路もなかなか悪くなくて、振り返ると槍穂や乗鞍、笠ヶ岳のてっぺんを一望できるオールスター揃い踏みのような眺め。鷲羽岳から向こう、ここを通って槍の穂先まで続いていくのだなとなぞるのがまた楽しい。
そんな景色を楽しめるのがここ野口五郎岳。
三ツ岳はスルーして、烏帽子小屋に到着。りんごジュースと、何となくレモンスカッシュを買ってみたらこれが大正解。なんとレモンスカッシュは七割方凍っていて、少し歩くごとにキンキンに冷えた状態のものを喉に流すことができた。
日曜日は七倉を15:15に出るバスに乗らないといけないということで、時間制限のある日。時間的に少し厳しいかと考えて、烏帽子岳の頂上往復はしないことにした。2年前に登頂済みだし。庭園のような風景の中を進んで、南沢岳へ。
南沢岳、不動岳、船窪岳を結ぶこのルートはところどころに崩壊地があるという案内が出ていて、実際に長野側が切れ落ちた箇所が複数、ズルズルと足が流されるような感覚があって難しい。
ガスの切れ間に高瀬ダムのダム湖がちらり。この先に進むと今度は視界の左手に黒部湖のエメラルドグリーンも見えてくる。
南沢岳から南沢乗越まで200m落とし、また南沢乗越から不動岳まで200m上げる。アップダウン要らないよ〜と心の中で思いながらも、徐々に溶けてくるレモンスカッシュをご褒美に歩き続けた。不動岳でレモンスカッシュは飲みきってしまった。
ガスで分かりにくいが左手の奥に見えているのが針ノ木岳、その手前がこれから歩く船窪岳、七倉岳の稜線。
船窪岳第2ピークに到着。ここまでの登り返しもかなり辛かった。道中、新しめの動物の糞があり(そこそこデカい)、熊か?! と思って手を叩いたり口笛を吹いたりしながら進んだ。船窪岳で追い越した方も熊でしょうねという見解で、何かあったらホイッスルを吹きましょうと話して先に進んだ。(幸い特に何も起こらず)
ほたるん確認。
船窪岳第1ピーク。頂上の標はだいぶ手荒に扱われているよう。というかよくよく見ると木の上の方が剥げていて、そういえば第2ピークの頂上標も裏側が削れていたりして、これらも熊の仕業なのだろうか。
第1ピークまでは2年前に歩いていたので、これで歩行済みルートが繋がった。
針ノ木沢方面との分岐点。針ノ木沢は上級者向けということが明記されているが、不動岳方面もアップダウンの繰り返しや崩壊しやすい路面、エスケープのないことを考えるとあまり気安く選べないルートではある。
船窪小屋で、少し残していた水晶小屋のお弁当をかき込み、またりんごジュースを飲んだ。ガスっていたのもあり、七倉岳の頂上往復はせず。船窪小屋から先、あとはバスの出発時間と競争をしながら七倉尾根を下るだけ。天狗の庭から先は、写真も撮らずひたすら黙々と歩くのみだった。
15:15に七倉に戻ってくるのは、予定段階では割と無理筋かもしれないと思っていた。実際には、唐沢のぞき付近から何かふつうに間に合いそうだぞというタイムになり、これなら烏帽子岳か七倉岳のどちらかはピークハントできたなということを後になって思ったり。
まあ余裕を持って帰ってくるに越したことはなく、バスが来るまでの間は汗を拭いたり水分補給をしたり、何だかんだすることをしていたら時間が経っていた。
七倉でバスを待っている間、ブナ立尾根から下りてきましたか? と2回も尋ねられた。(うち一人は山岳警備隊? の方とのこと) 何か事故?やクマの目撃情報でもあったのだろうか。
バスは大町温泉郷で下りて、久しぶりに薬師の湯。サウナと水シャワーと露天風呂を楽しみ、大糸線に揺られている今に至る。次の百高山は小太郎山かなあ。
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