上越国境(仙ノ倉山・平標山・大源太山)

なんだかんだで毎冬シーズン来ている上越国境。毎年少しずつ踏破済の区間を増やしている。今年は三国峠までをカバーできたので、来冬こそは万太郎山~谷川岳を歩けるだろうか。それにしてもキツいラッセルだった。こいつ毎週ラッセルしてんな。


例によって越後湯沢駅を5時半に出る始発バス。さすがにスキー場はまだ開いていないため今年もガラガラで独り占め、かと思いきや今年は途中から一人乗ってきて、同じ平標登山口で下車していた。

いきなり時間が飛んでヤカイ沢の上部へ。苦しいラッセルだった。先行するスノーシューの方に早めに追いついてしまい、斜度が上がる区間から道をつくる役目を担った。でも適当なルート取りでごめん。それこそ泳ぐように雪をかき分けて進んだので時間かかったけど、まあ流石に一番乗りだろうと思ったら視界外からスキーヤーが3人登ってきて泡吹いた。追い抜いたスノーシューの方はとりあえず自分についてきているようだったが、それ以降で自分のトレースが採用されたかは不明である。せっかくラッセルしてもルーファイが下手っぴなので後続に採用されないがち。

見えてきた稜線。まだ9時台は風が強かった。若干の雪煙が遠くで舞っている。

平標山の山頂標を流し見して、すぐに視線は仙ノ倉山方面へ。青と白銀のコントラストが本当に素晴らしい。どこでもドアでここに舞い降りられたらいいのに、と思ったりもするけど、苦労するからこそでもあるよなあと今年は特に強く感じる。同じバスを降りてここに来た昨シーズン、一昨シーズンと比べて、今年は30分程度遅い到着。

海老のしっぽに焦点を合わせたくなる。

降雪はそれなりに多いはずなのだが、風で飛ばされているのか稜線上ではそこまで分厚い印象を持たない。植物の存在感も結構感じて、夏道の木道もところどころに気配を見せていた。

海老のしっぽと浅間山。


仙ノ倉山に到着。ピッケルを突き立てて谷川方面と苗場方面のそれぞれに向かう写真を撮る。どちらも視界良好。このピッケル合わせ写真が自分でも「うわぁ格好よくキマったなぁ!」と思うくらいに良く撮れる山行がたまにあるのだけど、そうならないときとの違いがわからない。今回はキマっていない。直近でキマったのは昨シーズンの粟ヶ岳まで遡る。

持ってきた軽食を消化し、苗場方面を一瞥して仙ノ倉山を去る。10時過ぎに着いた当初はまだそこそこの風が残っていたが、カメラを持ってうろうろしているとその内に風があからさまに弱まった。以降は穏やかで暑い程の山日和となった。

昨シーズン歩いたエビス大黒ノ頭から万太郎山に続いていく稜線。

仙ノ倉山へと向かう後続者と何度かスライド。こんな景色のなかをぽつねんと歩かれている姿はとても気高く、後ろ姿であるのをいいことにファインダーに入れさせてもらう。

平標山の頂上はスキーヤーで賑わっていた。平標ノ池の側に少し下って、そこから仙ノ倉山荘の方角に滑っていく人々が多い。お決まりのルートなのだろうか。こちらはお菓子のような霧氷の姿を入れた写真を撮りたくて、少し試行錯誤する。

接近したり、

写す方角を変えたりして。

ヤカイ沢を戻るのではなく、今回は南方向へと稜線を進んでいく。平標山ノ家まではスキーヤーのシュプールが2本あったので、道標にさせていただいた。山小屋は雪に埋もれ、冬期入口もどこからどう入るのか一見ではよくわからないことになっていた。山小屋から先はシュプールが消え、再度のラッセルパート。平標山~仙ノ倉山はカリカリの雪質で難儀しなかったものの、稜線の平標山以南はかなり足が沈んだ。

幸いなことに山小屋と大源太山の中間くらいのところで逆方向の方とスライドし、そこからは一部トレースをありがたくいただいた。山小屋から南は特に雪庇の張り出しが顕著で、自分は正直かなりチキって樹木の間を縫うように歩いていた。その結果枯れ枝がバチバチと顔に当たり痛い思いをしたので、対向の方々は、自分の残したトレースを見てやはり困ったかもしれない。採用されないがち。雪庇は結構本格的に怖ろしく、クラックの数センチ隣を歩く、どころかクラックを跨いで渡らざるを得ない(つまり一度雪庇側に乗る)こともあった。


雪庇の切り取り線としてのクラックのみならず、こんな感じで全層落ちそうだなという斜面上のクラックもあった。これは平標山~山小屋の区間のもので、これも(もちろん場所は選べるとはいえ)進路上跨ぎ越さないといけない。

大源太山から降りてこられた対向の方々は三角山登山口から毛無山を経て歩いてきたということで、大源太山~三角山もトレースに与れた。さらに南へと国境稜線は続いていく。三角山から三国山までの地味な登り返しがまた苦しい。スノーシューでもかなり埋まる。木々の間は歩きにくい。しかし木の生え際の外に出ると雪庇。精神と身体を効率的に鍛えられる。
 

三国山まで着けばようやく一段落で、下方には国道17号も見える。国道から三国山まで歩いてくる人がそこそこいるようで、またこのあたりからはトレース有りとなった。下りは早いのが雪山。ここまでラッセルで失った時間を取り戻すかのように快調に下っていく。斜面の途中でスノーシューを外して、そこからはツボ足で降りきった。アイゼンを使わないまま終わるとは。


国道17号。ときどき斜面から雪がボロボロと音を立てて落ちてきて、こわい。しかし路面はこの陽光のおかげかもう通行に支障のないコンディションとなっていて、大型バスやスキー帰りと思われる車がよく通っていた。ここでタクシーを呼び、猿ヶ京の日帰り温泉に入った。新幹線に接続する最終の路線バスの時間が迫っていて、30分程度で慌ただしく温泉を去ることになったのが口惜しい。食堂でモツ煮込みを食べたかったのに。

先週は三本杭に行けずに撤退したり、今シーズンはそれ以外にも計画変更で結果的に負荷の軽い山行になったりということがあったので、予定時間を上回ったとはいえ少なくとも計画コース通りに歩けたのは良かった。でもしばらくラッセルはしたくないなあ。

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