小野アルプス・播磨アルプス


アホみたいになげー。

年に数回くらいは意味のわからん山行、いや山行なのかすらわからん、苦行のようなことをしてみたくなるのだが、どうもその波は例年5月頃に押し寄せるらしい。

加古川線の市場駅から小野アルプス、そして権現湖周辺のちょっとした小山を繋いで、高御位山からは播磨アルプスのルートを辿って曽根駅まで、そしてこれまたちょっとした里山とでも言うような小ぶりのピークを4~5個踏んでようやく瀬戸内海へ。約42キロ、標高差2,100mほど。

アホみたいになげー。

事前に地図アプリ上でぽちぽちとルートを繋いで距離を電卓で足し合わせていたときは35キロくらいの想定だったのに。あと標高差はもはや算出不可(ローカルな里山過ぎてほとんどデータ無し)だったけど、最高所で300m程度のルートでまさか2,000mを超えるとは。走ったことないけどフルマラソンは走破できるっぽいです、自分。少なくとも10時間19分以内には。

まずは小野アルプス。アルプス感が極めて薄い。紅山の手前の岩の区間を念頭に置いてのアルプス呼びなんだろうけれども。苦しくないか? 岩の区間は一番上の画像。登ったり下ったりが短スパンでキビキビと変わるので意外に獲得標高差の数字が嵩む。紅山以降は蜘蛛の巣がとても多い。グッドポイントを挙げるとすれば、温泉(白雲谷温泉)が登山口直結で在ること。逆ルートだとだいぶ助かるだろう。

権現湖から権現山と城山を繋いで歩いて、ようやく城山の頂上で一息をつけた。湖畔から城山まではヤマレコにもデータのないコースで、踏み跡とピンクテープはあるものの当然入山者は少なく、ゆえにこちらもまた蜘蛛の巣のオンパレードだった。

私は蜘蛛の巣が死ぬほど嫌いだ。山に行っていて今更何を、という気もするが、嫌いなものは仕方ない。というかあの粘っこいのがベタベタと顔や身体に纏わりついてきて嫌じゃない人って居る? 前方2mに蜘蛛の巣が接近したら自動で発火させるチカラが欲しい。バリアーみたいなので防ぐのではなく、積極的に攻めていきたい。厨二病の残滓が顔を覗かせる。

加古川の志方町周辺、長いアスファルト歩きの区間。写真も全然残っていない。ふと用水路を眺めたら、大きい亀が3匹いた。1匹は私の気配にすぐ気が付いたのか、パッと水の中に砂煙をあげて消えてしまった。残る2匹も追随してどこかに隠れようとしたが、なんとかカメラが間に合った。そんな写真だけ。誰かが逃がした亀がなんとか生き延び、育っているのかなぁ。なにを食って生きているのかしら、などとくだらぬ思考をする。

途中、セブンイレブンで休憩をした。パピコときりっと果実のピンクグレープフルーツ味を流し込んで体を冷却した。きりっと果実のピンクグレープフルーツ味は、本当にウマいのだ。

後半戦、高御位山から曽根駅までが「播磨アルプス」。こちらもまた、随所に見られる岩のルートにアルプスっぽさが見出されてこの愛称になっているのだろう。今回は歩かなかったが馬の背と呼ばれる区間もある。麓、というほど上の高さがあるわけではないが、眼下にある町の方から賑やかなイベント?ライブ?の音声が縦走中の我々にもラジオのように小間切れに届いていた。知っている曲はひとつも無かった。

曽根駅の前にあるデイリーヤマザキに入って、シャインマスカット味のアイスボックスとソルティライチを購入。アイスボックスは筒の7割くらいまではそのまま氷粒を食べて、最後はソルティライチを筒に投入。スプーンでザクザクとさせながら、筒から丸ごと喉に流し込む。うめーんだわこれが。

写真は一気に飛んで、海。しかしあっさりと海に辿り着いたわけではなく、曽根駅から海までの里山歩きがまたなかなか、精神的に、長かった。標高100m前後の小ピークを繋ぐのみなので大して疲れないものの、もうすぐそこに海があるはずなのになかなか見えてこないのが堪える。思いの外歩かれている(というのは、蜘蛛の巣の少なさから)様子だったのは幸いした。最終盤になるにつれ竹藪のなかを歩く区間がちらほらと出てくるが、竹がパチパチポキポキとひとりでに音を立てるのが不吉なことこの上ない。え…? 聴こえるよね……?

海水にちゃぽんと靴の先端だけ付けた。そして堤防の一番端っこまで歩いた。ビールの缶が置いてあった。日はまだ高く、しかし歩き疲れていたので夕陽を待つことはせず、的形駅から宿泊地の姫路に向かった。

姫路のドーミーインに泊。そもそもの話、ドーミーインに泊まりたくてこのルートを考えたようなところすらある。他のドーミーインより妙に温度が高い気もするサウナで水分を絞り出し、湯上がりに体重計に乗ったら56キロ台だった。昨年秋頃からパクパクと食べまくってしまっていたので、少し体重を落とせたことに満足する。

よく眠り、翌朝はチラ見程度に姫路城を眺めて、あとは列車で帰るのみ。また山行にかこつけて苦行をやりたくなったときのためにルートを考えておかなくてはならない。敦賀半島縦走とか、野坂山地踏破(海から湖へ)とか、あの辺を歩きたいが、蜘蛛の巣が多そうだなぁ。

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