2023年GW 瀬戸内海


今年のGWは、今年のGWも、西の方へ行ってきました。もともと天気が読みにくそうだった(というより一週先の予報などアテに出来ないよね)ので山歩きメインではなくバイクに乗って気ままに走ることを目的にしよう、瀬戸内海の島巡りなら大衆の目的地も分散されて混雑も少なかろう、といったあたりの思考が決め手となりました。なんだか来年のGWも同じような方針になりそうです。

4/30日
前日は夜にコナン映画を鑑賞。私はコ哀派につき、良い映画体験でした。連休2日目の日曜はまだ下りの高速道路が混む可能性もあると踏んで早朝起床を目指していたものの、前夜の帰りが遅かったこともあり7時過ぎまで気持ち良く眠ってしまった。関東~東海は曇のち雨の予報。静岡市辺りまで強い雨に打たれ、浜松SAで休憩する頃にようやく雨雲をかわした。まだ少し風の強い名港トリトンから、久々の東名阪道に入り、久居から下道へ。天候も相まってか高速は終始空いていた。名張、宇陀と懐かしい地名を見つつ走って、途中の室生では餺飥うどんという地元の名物らしきうどんをいただいた。大阪南港のフェリーターミナルでオレンジフェリーの乗船を待っている頃、ようやく西から雲が晴れてきて、明日の好天の予感に胸躍る。オレンジフェリーの客室は今まで乗った数多のフェリーのシングルルームの中でも一番の「丁度良さ」で、窓あり、アメニティあり、共用シャワーありと、数時間の睡眠で去るには惜しい居心地だった。


5/1月
メーデーのため会社は休み。古式ゆかしい日本企業ゆえ、こういうところはありがたい。天候も快晴。東予港から数十分も走ればすぐに険しい四国の山の道が待っている。ただし、険しい、というのはまだまだ生ぬるい表現。国道を離れたあと、目指した笹ヶ峰の登山口までの道は、特に後半部は荒廃がかなり進んだダート道という様相で、ぬかるみにタイヤが滑りそうになったり、段差で車体がガシガシと音を鳴らしたり、精神的に参ってしまう道だった。縦走して、あとでタクシーに送ってもらうのも良いかな、というアイデアもあったが、それは断念せざるを得ない。さすがにタクシーにあの悪路を走らせるのは忍びない。快晴の下の笹ヶ峰は展望が素晴らしく、一般的には平日であることも助けて然程人も多くはなく、伊予富士まで気持ち良く歩くことができた。瓶ヶ森まで足を延ばさなかったのは、前述の通り縦走でなくピストンがベターと考えたため。ちらほらと紅いツツジも目に愉しい。下山後は瓶ヶ森林道に凱旋も考えたものの、積雲が目立つようになっていたため海沿いに早めに戻った。宿は今治に抑えていたので、しまなみ海道のつまみ食いで大島をゆっくりと巡る。初夏は日が長いので日没までは付き合いきれず、橙色の空を見ながら来島海峡大橋を戻って今治に帰った。昨年のGWも同じスーパーホテルに泊まったので、その履歴が出たのかフロントの方に「ちょうど1年ぶりのチェックインですね。ありがとうございます」と言われた。


5/2火
今回のGWで唯一の労働日。でもその前に、島巡りのつまみ食いを早朝のうちに済ませるのも忘れてはならない。西瀬戸道は向島で下り、島をぐるっと走り、「かみちゅ!」でお馴染みの渡し船に乗って尾道に渡り、そして三原に着く。三原の快活クラブは、昨年もGW中日の平日でリモートワークをするのに使った場所で、最早勝手知ったるところ。17時きっかりに退勤して、急ぎ竹原まで西進する。やはり昨年も泊まった竹原のビジネスホテルに荷物を置いて、すぐに町並み保存地区へ向かった。例のお好み焼き屋さんで夕飯とし、その後は黄昏時を迎える町の中をふらふらと歩く。猫の多い町。昨年出会った黒猫は見かけず、今年は斑猫を何匹か見られた。日没前後の夕景は、昨年の方が印象的ではあった。商店街、駅を経由して、途中コンビニで買ったアイスを咥えながらゆっくり歩いてホテルに戻る。これがしたかったわけで、一通りの満足をしつつ、そうは言ってもある種の偶然性に支えられてそれを体験できた初回、昨年の感慨には届かないものだなとしんみり思ったりもする。

…君、インソムニアに出てなかった?

5/3水
引き続き快晴の予報。この晴天は山に使いたい気持ちもなくはなかったが、ぐっとこらえて今年は島巡りに重きを置く。まずは未踏の大崎上島。竹原のフェリーターミナルには時刻をよく調べずに向かったが、船便の数が想像以上に多く、あまり待つことなく乗船できた。竹原のシンボルというような三井金属の煙突が徐々に遠ざかる。青く凪いだ瀬戸内海。どの島とも、本土とも、陸路で繋がっていない大崎上島は予想通りに混雑とは無縁で、陽光降り注ぐ海のすぐ隣の道でも景色をほしいままにする。最高峰の神峰山を踏んで、お隣の大崎下島へ渡るフェリーに乗る。一時は廃止の話も出た航路。人待瀬戸を横目に橋の下をくぐって、やはり一年ぶりの大崎下島へ。御手洗では乙女座の鑑賞を独り占めし(昨年は音楽発表会をされていた)、歴史の見える丘公園では先着のカップルに気を遣って早々に退散した。豊島も十文字山に足を延ばし、やっぱり自分はとびしま海道派だなとの思いを新たにする。呉からは高速道路を使って徳山へ。笠戸島で少し時間を潰し、今日3度目のフェリーで徳山から竹田津へ渡った。正月以来の九州。もう暗くなった中、たくさんの虫を体に当てながら別府まで走った。温泉大浴場付きのホテルだったが、あまりの混雑に耐えられず脱衣場で引き返し、部屋のユニットバスで妥協した。


5/4木
早朝の別府市街は前夜の喧騒が本当に嘘のようにひっそりとしていた。日田往還を西進してこの日は由布岳登山。朝のうちこそ高曇りだったが、頂上のお鉢巡りをしているうちに濃いガスが上ってきてしまった。然程の実りはなかったなと思いつつ再度海沿いに下りる。別府発のフェリーにちょうどいい時間の便がなく、思い切って臼杵まで南下することにする。臼杵からは八幡浜へオレンジフェリーと宇和島運輸の2社が船を出しており時間を合わせやすい。と思っていたら、オレンジフェリーの受付では予約せずに乗ろうとしていることを咎められてしまった。幸いにバイク、人間とも空きがあり、なんとか乗船。九州はどんより曇り空だったが、四国に戻るに連れ青空の面積が増し、気温も暑いほどだった。松山に至る夕やけこやけラインは下灘駅の訪問者も多いのかところどころで流れが詰まり、昼下りの暑さも嫌な気分を助長して、伊予からさっさと高速に乗って宿泊地に急ぐ。目的地は川之江だったが、訳あって豊浜SAまで足を延ばし、すぐに愛媛県に舞い戻ってビジネスホテルに着。睡眠時間が短い日が続いていたので、少しのお酒を飲んだあとに早めに眠りについた。


5/5金(-5/6土)
5/5が実質的な最終日。雨がパラついたりおさまったりの朝、川之江から別子銅山方面へ急峻なワインディングを上っていく。このあたりの二百名山で唯一未踏の東赤石山があるので、この機会に踏んでおこうという計画だった。とはいえ天候がすぐれないことはもともと明らかなわけで、なんと不誠実な登山だろうと自分を呪う。風の強い頂上付近は橄欖岩が滑りそうで少し怖く、本当にただ頂上の標をカメラに収めて帰るだけの山行となってしまった。登山開始地点の筏津にはかつての銅山の跡を示す坑道の入口が残されており、数十メートルはそこを歩くことも出来、なかなか面白い。海沿いに下りると予報に反して青空が広がっていた。帰路の渋滞ほど精神不衛生なものはない、それに5/6あたりからは西日本で悪天が見込まれているということで、帰りは徳島からのフェリーを抑えていた。フェリーまでの時間調整に備讃瀬戸を5年ぶり(!)に走行し、与島PAでイカとホタテを食べた。徳島までの道は海に近く、そしてこの日はとりわけ海風が強く、目をしばしばとさせながらフェリーターミナルに着いた。仕切りはあるものの個室ではないカプセルホテルの亜種のような寝床で、越百山の山行記録を書いたり綾辻行人を読んだりしていたら思いの外時間は早く経った。東京に到着する船に乗ることはそう多くはない(きっと今後も)から、ゲートブリッジを潜る瞬間などは心がはしゃいだ。ずいぶんと久しぶりに走った気がする首都高、情報のインプットとバイクの挙動によるアウトプットのテンポが懐かしく、不思議なほど心地良い。相模原に戻ったらそのままコイン洗車場へ直行した。四国初日の笹ヶ峰までのダート道で付けられた汚れを何とか落とし、自宅までの残り僅かな距離を使って濡れた車体から水を飛ばした。




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