表紙画像: 次郎笈から剣山を振り返る
4/28 木
午前中は半休を取り、四代目バイク(ヤマハBOLT)の納車。初めての空冷Vツイン。二代目バイクのVT750Sを思い出す乗り心地で、独特の鼓動と排熱が襲う右太腿への猛烈な熱さはご愛敬というか洗礼というか。午後はリモートワーク。終業後、リアキャリア装着に大苦戦し、21時過ぎに何とか相模原を発った。圏央道、東名はいずれもそこそこの車の数ながら流れは良く、富士まで行ってこの日は終了。快活クラブにて泊。
4/29 金
富士までの前日移動は朝の渋滞を回避するためで、それ以降の渋滞は計算外。浜松いなさJCTの先から事故渋滞とのことで、新東名から東名へ迂回した。その東名も徐々に渋滞が顕著になり始め、ガス欠の恐れもあったので岡崎で高速を下りた。豊明で伊勢湾岸道に戻り、ここも名港トリトンをひたすら徐行する渋滞の渦中。四日市辺りまでノロノロ運転は続き、そうこうしている間に西からの低気圧が覆いかぶさって、次第に豪雨の様相を呈した。納車翌日にこの仕打ちとはBOLTには申し訳ない。この日の目的地は徳島で、淡路島ルートか南海フェリールートかは最後まで決めかねていた。結果的には新名神の渋滞の報を見て、名阪国道から和歌山に下りることにした。断続的な豪雨が襲う名阪国道、京奈和道はいかにも決死のルートという様相。ほとんど休憩もできず、クタクタになって和歌山に到着した。排気量の大きいバイクだったのはせめてもの救いか。今まで程「目を三角にして走る」ような感覚はない。南海フェリー上で、仕事のメールをいくつか片付け、うつらうつらと仮眠を取った。紀伊水道のど真ん中で、ふとデッキに立つと雲の切れ間に青空が覗いた。徳島の快活クラブに泊。仕事の残りと、洗濯を済ませる。
雲の切れ間の青空
4/30 土
快晴の予報。2時半に起床し、人気のない国道438号線を西へひた走る。神山辺りまでは走りやすいフレンドリーなルートだが、次第に四国山地特有の凄まじい酷道へと表情が変わっていく。暗闇の中、鹿に狸に野ウサギが度々進路を遮って飛び出してくる。ぐねぐねと流石にげんなりしてくる山道を耐え忍んで、ようやく剣山見ノ越に到着。車の数はすでにそこそこ多い。晴れの予報はどこへやら、どうもガスに巻かれているような大気ではあったが、見上げるとまさに剣山の頂付近から青空が広がり始めていた。4年ぶりに訪れた剣山は、よもやこの時期に見られると思っていなかった霧氷を抱き、次郎笈への稜線も白眉だった。次郎笈のさらにその先、三嶺に至る24キロの長い稜線を踏破し、美しい山日和を心行くまで楽しんだ。三嶺からは名頃に下り、バスで見ノ越までワープ。見ノ越からは京柱峠ではなく吉野川側に下りて、徳島道も交えつつ、新居浜、西条の港湾風景を見ながら今治までのんびりと移動。天然温泉付きビジネスホテルというのに最近よく泊まる傾向がある。
次郎笈に至る四国山地随一の稜線美
5/1 日
四国の東側は午前中に雨の予報。それもあって前日に今治まで移動しようと考えたのだ。ホテルを出ると曇天、確かにこの場所の天気は持ちこたえたようだった。剣山に続いてこちらも久しぶり、5年ぶりのしまなみ海道へ進路を向け、時間調整がてら生口島で下りる。高根島までぶらぶらと走り、手頃な時間に大三島へ移動。BOLTはUターンがしにくく、気ままな探索というのにはハードルが高いのが難点か。大三島は盛港に移り、ここで一旦バイクを停める。大久野島へフェリー移動をし、ウサギと戯れる静かな島巡り。2時間弱の滞在で盛港へ戻って、昼食の後に今度は島の反対側の港、宗方に向かった。宗方港から岡村港へのフェリーはしまなみ海道ととびしま海道を繋ぐ貴重なルート。ラッシングもされない簡素なカーフェリーで15分程度、愛媛県の海上の臨界点にあたる岡村島へ到着。ここも4年前に来て以来の再訪だ。曇りがちな空の下の島巡りは、前に来たときには勝らないかと思いつつ、今回は違う色を出したくて大崎下島の御手洗地区に立ち寄る。大久野島から続いて、たまゆらの巡礼じみているではないかと思い至った。とびしま海道を過ぎ、本土に戻ってからは一路竹原へ。いよいよたまゆら巡りになってきた。せっかくだから、と作品に登場するお好み焼き屋で夕飯とし、近隣一帯を散策した。薄明頃で人の数は少なく、とても素晴らしい舞台巡りだった。竹原のビジネスホテルで泊。
大久野島のウサギ
とびしま海道
竹原で出逢ったくろねこ様
5/2 月
晴天予報も、平日なので仕事を片付けないといけない。朝のうちに三原まで移動し、終日快活クラブにて業務。退勤後に三次まで移動して距離を稼いだ。三次のビジネスホテルで泊。居酒屋が隣接されていて助かった。そこで麦焼酎とワニの刺し身を煽った。ワニというのはこの地域でサメの謂とのこと。
5/3 火
早朝に三次を発って、すぐに県境を超えて島根県は三瓶山へ。三瓶山は学生時代の踏み残しという感覚が強い。大学の4年間でバイクで行きたくて行けなかった場所はどこかと問われたら、沖縄本島と三瓶山を答えただろう。沖縄本島はおそらくこの先も自家用バイクで行くことはなかろうが、三瓶山もそうというのは寂しい。この日は天候にも恵まれ、リベンジマッチには相応しい。男三瓶山から子、孫、女三瓶山と各ピークを順番に踏む縦走で、テキパキと歩き北ノ原に戻った。終始、鳥の鳴き声が美しく響く山だった。三瓶バーガーを食べようと思ったが、連休の混雑に撤退を強いられ、仕方なく海沿いに下りた。国道沿いの道の駅も同じように混んでおり、致し方なくコンビニで昼食。出雲の先、日御碕もどうせ混んでいるだろうと読み、5年前に見つけてとても気に入った十六島湾沿いの県道を再び走ろうとした。断崖沿いに細い県道が走り、湾を挟んで反対側、風車の並び立つ十六島地区の眺めが美しい、それでいて車通りの少ない穴場という感じのする道なのだが。残念ながら工事で通行止めとなっており、消化不良のまま出雲へ引き返した。山陰道で米子まで走破し、大山がいよいよ迫ってくる。鍵掛峠までは行かないにしても、登山口の辺りまでは山道を攻めても良いのでは、とそんな思考がチラついたものの、予想以上に時間が押していたこともありそのまま海沿いから東へ抜ける。出雲、松江、米子、倉吉、鳥取と何だか各都市をすたすたとテンポ良く繋げられそうな気がするものの、実際走ると全くそんなことはない。交通量の多さも相まって、三朝温泉に着いたのは日暮れ直前だった。温泉街を少し歩く。近隣の定食屋で煮魚と日本酒を味わった。ラジウムの熱気浴は今回は行わず。三朝温泉の旅館に泊。
男三瓶山から子三瓶山、孫三瓶山へ稜線が続く
5/4 水
連休自体は5/5まであるが、都内で別用があったためこの日が最終日。三朝温泉から相模原なんて丸ごと移動日に充てても良いくらいの距離だが、それでは勿体ない。どうせ渋滞に嵌まるのだから、時間をずらす意味でも登山は良い。うっかり道を間違え人形峠まで行くなどしたものの、何とか朝のうちに下蒜山登山口、犬挟峠に到着。今日も快晴。振り返れば、雨に打たれたのは4/29だけ、あの豪雨に日和って帰るなどせず、堪えて和歌山まで走って、本当に良かった。今回は出発時点で確定させていた予定(宿、フェリーなど)は一つもなく、いつにも増して断念しやすい状況だった。眺めの良い下蒜山から中蒜山、上蒜山と縦走。中国地方らしい低山と集落の風景が左手に、右手には遠く日本海と山影から勇ましい大山の姿も迫る。縦走路を折り返す余力はなく、上蒜山を下りてからはタクシーで犬挟峠へ戻った。ここからが長いこの一日。浦富海岸周りで東を目指すのは、所要時間が長く交通量も多いだろうと今回は断念、中国道と舞鶴若狭道で舞鶴へ。数年ぶりに京都の地を踏んですぐに離れた。しばらく海沿いを走って、いつも通り美浜で日の沈むのを見送った。昨年は浜昼顔と煌めく水面の景色に心打たれたが、約3週間早い今年はまだ咲いていなかった。日没後、覚悟を決めて敦賀から長い高速路。米原JCT直後、豊田JCT直後と断続渋滞を経て、走っているうちに消滅するかと期待された秦野中井からの渋滞は一向に収まらない。ついに日付を跨いで、それでも粘り強く伸びる車列の一員となって、ようやく相模原に帰ったのは深夜2時前だった。靴を洗う体力はもうなく、シャワーを浴びてすぐに眠りに落ちた。
中蒜山から鞍部への下り、日本海を望む
ダイヤ浜に落陽
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