白神岳


表紙画像: 開けた尾根に一輪咲くニッコウキスゲ

雨に濡れるのを承知でバイクに乗って、その先で晴れるのならば良いがこの時期はどこもスッキリは晴れてくれないもので、うっかりすると山もバイクも遠い存在になってしまう。いつものように荒天域の広いのを見て終わると思われた天気予報で、広い日本でほとんど唯一と言っていい週末の晴天域が目に留まった。北東北の日本海側、(土日の2日間だけなら)バイクではそもそも距離的に難しい。冬に白神岳に登れるのではと列車の接続を調べたことを思い出して、夏の入り口の白神山地を急遽歩くことにした。新幹線に乗って行くのは初めてだった。
金曜はやややっつけ気味に仕事を切り上げ、冬に森吉山へ行ったときと同じ時間の秋田新幹線に乗った。窓側は大体埋まる混み具合で、少し驚く。初日は秋田市内まで距離を稼ぎ、泊。能代まで行ければ翌朝の列車が1本早くなるが、能代にいい前泊拠点を見つけられない。

土曜朝、東能代で五能線へ接続
部活か授業か、高校生でホームはごった返していた

能代駅で高校生はどっと降り、途端に寂しい雰囲気が漂う。昔ながらのキハはほんの少し前に引退してしまい、今は安心感はあるもののあまりローカル線っぽさのない新型気動車が五能線を走っている。

車窓は日本海を心ゆくまで

目的のはっきりした駅名

国道をまたいで白神山地へ。この国道は3年前にバイクで走った。当時は五能線ルートに沿って国道を走り、リンゴ農園が広がる弘前で岩木山を見て、岩木山は翌日に登った。当時はさらに二ツ森(秋田側から登れる世界遺産コア域の山)にも登ろうとして、そちらは道路が通行止めだったので断念した。

登山道が始まるまで舗装林道が約3キロ。乗用車同士のすれ違いは難しそう。海岸線すれすれから丁寧に標高を上げていく。


広い駐車場とトイレ付きの建物からさらに進むと、森林覆う静かな登山道。このあたりはまだまだ世界遺産登録域の外。

最後の水場

ブナ林のもたらす冷たくて美味しい水
今年飲んだ山の水で今のところ一番

標高千メートル過ぎから視界が開け、偽高山帯の植物が彩り始める

とはいえまだ花開ききらずといった様相で、シーズンと呼ぶには少し早かった

風露様も

ごった返す頂上広場に苦笑い。話を盗み聞いていると首都圏から来ている人も少なくない。天気厨がちゃんと居るものだ。

海岸線もすぐそこ

南方向

白神山地の世界遺産コア域方向
白神岳は最後の稜線上が僅かにコア域に含まれているのみで、イメージほどにはブナの山という感じがしない(むしろ花の山だった)

バイク使用ではないので縦走路も良いかと思われた(白神岳から十二湖に降りる縦走路がある)が、藪漕ぎかも?との情報があって止めた。今年は刈られていたとの話もあったが、踏み跡は多くはなかろう。

0メートル地点まで下りきった

五能線の接続まで3時間以上も持て余す
遮るもののない砂浜でぼんやりして時間が過ぎるのを待った

きれい

靴下を脱いで少しだけ海に入った。海水は想像よりずっと冷たく、気持ちよかった。海に入るのに粒の大きい石の打ち寄せられた箇所を歩く必要があり、それは痛くて難儀した。

列車に乗ってこの日は深浦まで

日の傾く深浦港

この鬱屈した梅雨時の景色と思えない、雲ひとつない西の空に太陽がゆっくり落ちてゆく

沈みきるその瞬間まで見届けた。海辺で見るちゃんとした夕日は少なくとも今年は初めてで、社会人になってからは沈み切る最後の一秒まで見られる夕日は年に一度出会えれば御の字かもしれない。

ちょっぴりだるま夕陽

温泉宿でゆっくり。
露天風呂に浸かる頃、ちょうどトワイライトの空が広がっていた。

翌日は五能線・花輪線とローカル線を繋いで、盛岡から新幹線で帰った。終日曇り空で岩手山や八幡平は見通せず、姫神山だけは分かりやすかった。全くそんな予感はしなかったが、自分の乗った列車が好摩、盛岡へ着く頃、大館付近のゲリラ豪雨で花輪線後続列車が運休になっているとの情報が入り、冷や汗をかいた。盛岡からの新幹線は何があったのかという混雑で、こまちに1席だけ窓側が空いているのを見つけ、使いにくく改悪されたえきねっとモバイルを操作した。

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