妙高山 (+能登半島)

表紙画像: 妙高山頂上からは火打山方面だけが青空の下にあった

連休のあと2日間の平日を挟んでの土日はあまりGWの一部という気がしない。土曜、南高北低の夏の空になりそうで、今月来月に浮かべていたリストの中から日帰りで登れそうな妙高山を持ってくることにした。日曜は平地のみ晴れの予報で、久しぶりの能登半島巡りとした。


前日は富岡の快活まで走行。金曜、仕事が長引いて都内を出たのは21時過ぎ。所沢付近まで雨に打たれ、良くないスタートだった。翌朝眠い目をこすりながら笹ヶ峰に行く。月末まで休日割引適用なしの案内が喧しい。信濃町のGSが朝から開いていて助かった。


妙高山単体の登山なのに燕温泉から歩かないのは道が崩壊気味との噂があったから。笹ヶ峰から歩くと距離が増すので、心なしかペースも上がる。

十二回も曲がらないで真っ直ぐに直登できる

富士見平付近から右に折れて、火打山ルートと別れる。火打山方面はBC・登山満遍なく入山者がいる反面、妙高山側は人の気配がない。


黒沢池前の開けた箇所に下りると、連休中に歩いた人がいたのかほんのり薄いトレースが一本残っていた。近くを辿る。


ヒコーキ雲


遠くにガスの塊、と何気なく思っていたら、それは思いの外近く、ヒュッテのすぐ向こうに半透明が迫ってきていた。大倉乗越まで進むペースがまた上がり、頂上方面がどうなっているか気がかりになる。


乗越に着くと、外輪山と中央火口丘の間にガスが充満して、視界は著しく悪くなっていた。進むか引き返すか真剣に悩む。進めば(乗越から下るので)登り返すのもそれなりに体力と時間を使う、引き返すとまた登れなかったという思いが募る。(晩秋に火打を歩いた後、縦走と思ったものの黒沢池で時間切れで笹ヶ峰ルートの妙高山を断念していた)


乗越から反対側には、ガスを寄せずにどっしり立つ火打山と焼山がよく見えた。これはもう少し進んでみようというモチベーションの助けになって、外輪山の先の溝に溜まったガスも妙高山頂上からは何てことはないのではないかと少しだけ期待された。


かくして、まずは視界の悪い外輪山の下降。夏道のトラバースは探す気を起こさせることもない。ここは真っ直ぐに降りる。後から考えると、ガスで視界がクリアでなくて、怖さが軽減されてむしろ良かった。グリセードなのか単に滑り落ちているだけなのか分からない形で底に着く。


中央火口丘の登攀も一筋縄に行かない。一人分薄く続いていたトレースは簡単に見落とし、夏道も定かでない。ようやくこれという道を見つけても、雪に曲げられた木の枝が前を遮り、足元は踏み抜きの連続。読み通り、ある高さでガス帯を抜け、再度青空が戻ってきたのは救いだった。

妙高山北峰


8メートル高い南峰


頂上に着くと、青空の下にあるのは頸城山塊周辺、火打山近辺だけだと判った。上越、妙高の市街はガスに遮られて何も見えない。日本海側も雲海が見事だが、下界の様子は隠されていた。頂上に他の人は誰も居なかった。火を使わない軽食を済ませ、下山開始。歩くにつれ一部残っていた空の青も減り始め、高曇りに変わった。


行きに何も見えなかった外輪山の箇所は帰りにはガスが晴れ、おかげでこの壁をよじ登るのかとげんなりさせてくれる。自分のトレースを探して、よろよろと一歩ずつ登った。ぐずぐずの雪質で、刃が刺さらずに落っこちるということはないにしても、置いた足場が簡単に崩れ落ちるのは慣れない。ここの登降は雪崩、落石も怖い。耳をそばだて周りをよく見、あくまでもそのためと言い訳して何度も足を止める。息絶え絶えに大倉乗越に帰ると一人、ソロの登山者と出会った。(富士見平以東では唯一のエンカウントであった)

振り返ると中央火口丘


行きの青空が懐かしい
GPSとトレースを頼りに長い帰り道を黙々と歩く

残雪の頸城は高谷池を拠点にして、一泊二日の幕営登山にするのがずっと描いていたプランだった。でも天気と休みは待ってくれない。まず晩秋の火打山があって、そして天気図とにらめっこして、尤もらしいタイミングで来たつもりではあった。それでも、消化不良な感が残る山行となってしまった。コンパスで届け出ていた下山時刻を超過し、いっそこのまま帰宅とも過ぎったが、翌日の予報を見て富山市の宿を抑えた。北陸道、親不知の海岸の先(魚津~富山市)はいつも眠くなってしまうのに、今日は西の赤い夕焼けが見事で楽しく走れた。

翌日、2年ぶりの能登半島。金沢森本に出るまでに凄まじい強雨に三度当たって苦笑い。なぎさドライブウェイも通行止めで遣瀬なし。内灘から少しずつ青空が帰ってきて走行風が雨粒を飛ばす。

確かに、海岸線は幅が狭くなっていた。一段上の砂利道から海原を見て、雰囲気だけ。


西保の海の道

ちょうど田植えの日で賑わっていた

予期せぬ収穫は大谷川の鯉のぼりフェスティバル

風で舞って舞って舞うので撮るのが難しい

人工的なものに惹かれないと思っていたのに、これは何だかいいものだなと沁みてしまった

みて、泳いでる

馬緤バス停も

電柱・電線のない道がいかに素晴らしいかということ

ここまで来れば満足感も一入。前に来たのがまだ生活に余裕のあった社会人1年目の夏休みで、去年はそんな余裕などなくて(なぎさドライブウェイを走るので精一杯だった)、今年も別に余裕があるわけではなかった。体力のあるうちは、少し無理をしてでもちゃんと遠くにも行くべきなんだろう。この一昨日のことを振り返る今この日に、疲労はすでに忘れていて晴天の能登半島を走った感慨がある。

忘れずに

湯涌は白山を登る日に残しておこう

雨晴海岸は今回パスして、七尾から長い高速路。有磯海、東部湯の丸の二度休憩で、幸いもう雨に打たれることもなかった。中に着るジャケットは夜の高速走行でも不要だった。季節は進む。新座の料金所の料金表示は見ないことにした。金曜夜から起算して1,350キロに及んだ。妙高山しかり、能登半島しかり、やっつけた印象もなくはない。(このタイミングが正解だったのだろうか?) そう遠くない内にどうせまた行かずには居られなくなるので、どうだっていいのかもしれない。

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