鳳凰山

夏は暑いので高い山に行くのに限る。のだけど高い山も登り始めは低い山なのである程度は我慢しないといけない。せめてもの足掻きで暗いうちに登り始めるのがいい。

鳳凰山、日本アルプスの百名山で「岳」でなく「山」なのはここと立山と恵那山だけ。標高2840mは立派なものなのだけど妙に影の薄さがある。夜叉神峠からの往復は歩きやすさに定評あるものの距離がやたら長い。昼間たっぷりと眠って、日付の変わり目から登り始めることにした。山の日の連休。夜叉神峠までの山道で鹿を2匹かわす。最初の鹿は巨大なツノを持ったオスだった。メス鹿の方が遭遇率高い気がする。

夜だし怖さ紛らわしに音楽でもかけながら、と鳴らし始めたところでナイトハイカーがもう1人いて赤面。先に行かせる。暗くてもヘッドライト付ければ迷うことはない分かりやすい道。夜叉神峠の幕営指定地にテントがいくつか見える。視界は開けてもガスが強く星も月も見えない。

夜叉神峠、杖立峠と峠を経ていく道は大小アップダウンがあって帰りを考えると少し憂鬱になる。もっと動物の気配があるかと思っていた。浅間山の光る眼光を思い出す。
南御室小屋は静か。連休でどうせ満員と思いどの小屋にも電話をかけなかった。砂払岳に出て風があたると寒いくらいで上着を羽織る。薬師岳小屋の向こうにヘッドライトが見えた。先行のナイトハイカーか小屋泊の民か?

想定より早く稜線に登りつめて、薬師岳到着はまだ真っ暗。ガスが濃いのが分かるが仕様がないので観音岳まで進む。一応JWAの山岳予報では快晴。観音岳が2840mで最高峰。数人集まっていて、賑やかさが少し嫌。東を見ても踏んできた薬師岳までの稜線が辛うじて見えるくらいのガスの張り具合で、日の出の時間になっても光は射さなかった。

観音岳からはシンボルの地蔵岳オベリスクがよく見える。よく見えるのだけど歩き始めると想像以上に辿り着かなくてげんなりする。ガスで展望もないので根性で歩かないといけない。稜線のざれた道が滑って歩きにくいのも堪える。技術がないのでオベリスク登りは挑戦せず巨岩の下で軽食にした。夜叉神の出発からすでに十数キロ、ようやくここが折り返し地点。バイク&登山セットのピストン前提だと青木鉱泉に下りられないのが辛い(夜間歩行には夜叉神ルートがいいかと判断した)。

下山はもくもく歩くだけ。樹林帯歩きもあまり長いと苦笑い。南御室で水を変えようと思ったがコロナ脳の気を小屋番に感じて止めた。山梨県、というか南アルプスが駄目なんだろうな。標高落としてくると青空が見えてきて日射しも当たってきて暑い。

帰ってきた夜叉神峠は思っていたより混んでない。0時に登り始めて午後に戻ってくるのだから長い道のり。早いところ眠りたかったので中央道を飛ばす。時間が時間で渋滞がないのが幸い。しかし甲府盆地の暑いこと…じりじりと音を立てて肌が焼けていく感じがする。フィナーレは山手トンネルの酷暑。暗くなる前にベッドに潜り込んで、翌朝いい具合に朝に目覚めた。

暗い夜叉神登山口

三山の一番手前が薬師岳。到着時点はまだ暗かった

最高峰観音岳で夜明けの気配

分かりやすいオベリスク

飽きるほど樹林歩き

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